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最近、入社してきた後輩営業マンがいます。
年も若く意欲もあり、営業は未経験ですが、頭の回転も早く、ハキハキとして、人見知りせず、いろんな人に話しかけられる、営業の才に溢れていそうな営業マンです。
上司も、先輩ベテラン営業も「あいつは取れる」「俺が育てる」と息巻いて、その後輩営業に手取り足取り、教えていきました。
内谷は、警戒させないように、毎日挨拶(単純接触効果)と頸動脈を見せる好意シグナルだけ送っていましたが、営業についてのアドバイスは控えていました。
*単純接触効果と好意シグナルについては過去記事にあります。
決して教えたくないのではなく、上司の教えることと自分の教えることが、ごっちゃになったら混乱させてしまうかもしれないと思ったからです。
時は経ち、後輩は知識をつけ、研修を重ね、意気揚々と現場に出て2ヶ月が経ちましたが、結果から言うと、2ヶ月連続で予算の半分程度の実績で留まりました。
上司は首をかしげ「あいつ辞めるな」といい、積極的に教えていた先輩社員も「思ったより優秀じゃなかった」と匙を投げる始末です。
当の本人も当初の自信をすっかりなくし、見るからに、表情が暗くなっていきました。
上司からの数字に対する圧も強くなり、構ってくれていた先輩も冷たい視線を送ってくるようになり、本人も大分参っていたようです。
とある日に、営業活動から帰社してくると、それまで挨拶を交わす程度の関係だった、その後輩営業マンが、内谷の席に近づいてきました。
「お疲れさまです。内谷さん。ちょっといいですか?」というと、ミーティングルーム(主に営業ロープレを行う部屋)に連れていかれました。
彼はどうやら営業ロープレを見てほしいとのことで、他の上司や先輩に聞いても効果的な改善ができなかったので、藁をも掴む気持ちで、内谷に頼んできたそうです。
とりあえず、内谷をお客さんに見立てロールプレイングをすることになりました。
私は、年代、性別、現状のプランを細かく設定し、時計で時間を計りました。
所々、拒否の姿勢を見せてみましたが、彼の切り返しは流暢で、お手本のようにこなしていきました。クロージング(決断させるところ)まで終わりました。
内谷から彼にアドバイスしたのは2点だけでした。彼は、それだけですか?とキョトンとしていましたが、次の1ヶ月間で彼は予算の130%を達成できました!
上司やベテラン先輩は、手の平を返したように「やる奴だと思っていた」「俺が育てた」と周囲にアピールしていました。(もちろん、知識やテクニックは教わってたので嘘ではないかと思ってます)
内谷がアドバイスしたのは
「戦場カメラマンの渡部陽一さんって知ってる?あの感じで、ゆっくりな話し方を意識してみて」
「あと所々で、相手に、ここまで大丈夫ですか?って確認してみて」
これだけでした。彼は知識も技術もやる気も立派でしたが、とにかく喋るスピードが早すぎました。
それは本来のせっかちな性格と契約が取れていない焦りで、よりスピードが上がってしまっていました。
また、お客さんが暑くて話を短くしないといけないと思い込んでたのもあったみたいで、本来、10分くらいで話できるボリュームのトークを、彼は6分くらいで駆け抜けていました。
その結果、相手が理解していないのに一方的に、話を続けてしまっていました。
訪問営業に大事なことは、話す内容もそうですが、伝わるような話し方や、相手がどのくらい理解しているかを確認しながら話すことが重要です。
どれだけスキルを磨いても、どれだけ話がうまくても伝わらなければ意味がないです。
ゆっくり話すことは、心理学的観点で見ても、余裕があり、説得力がある人物という印象を与えられるので、信用に値する人物と取られやすいです。
ベテランの営業でも知らないうちに、早口になっていたり、確認を怠ったりするので、定期的にトークを見直しましょう。
後輩は、渡部陽一さんに救われましたと言っていました。
知らないところで、渡部陽一さんは1人営業マンを救っていました(笑)